2025.01.08
【2025年版】住宅ローンはどこを選ぶ?|控除の条件、借入と返済、金利変動
マイホーム購入に向けて、ほとんどの方が利用するのが住宅ローンです。今回はそんな住宅ローンの控除の条件や、借入のコツ、返済シミュレーションや金利の変動まで解説していきます。
目次
住宅ローンのお悩み
家を買うタイミング
マイホームを購入するタイミングは人それぞれ異なりますが、共通して重要なのは購入費用を確保することです。住宅購入には資金が必要であり、その資金計画が整った時が購入に適したタイミングといえるでしょう。
では、具体的にどの程度の費用が必要なのでしょうか。独立行政法人住宅金融支援機構が「フラット35」の利用者を対象に行った調査によると、マンションの購入には平均5245万円、建売住宅は3603万円、土地付き注文住宅は4903万円の資金が必要とされています。この調査結果から、マイホーム購入には平均して約3600万~5300万円の費用がかかることがわかります。
国土交通省の「令和4年度 住宅市場動向調査」によると、2021年4月~2022年3月に住宅を購入した人の年齢を住宅の種類別に見ると、30代が分譲集合住宅では35.4%、分譲戸建住宅では45.6%、注文住宅(新築)では41.7%を占めており、購入者の約半数が30代であることがわかります。
さらに、購入時の平均年齢は分譲集合住宅が44.8歳、分譲戸建住宅が39.5歳、注文住宅(新築)が41.1歳でした。このことから、収入が安定し住宅ローンを組みやすく、定年前にローンを完済できる可能性が高い30~40代がマイホーム購入の適齢期と言えるでしょう。
住宅が購入できる年収基準
マイホーム購入に必要な年収について考える際、一般的には年収倍率が用いられます。年収倍率とは、年収の何倍まで借り入れが可能かを示す指標で、適正な範囲は5~7倍とされています。
ただし、近年の住宅価格の高騰に伴い、金融機関によっては年収の7~10倍まで融資を行うケースも見られます。しかし、借入額が年収の7~10倍になると返済が困難になるリスクが高まるため、上限として捉え、可能な限り5~7倍に収めることが望ましいです。そのためには、頭金を多めに準備して借入額を抑える方法が有効です。一般的には住宅価格の1~2割程度を頭金として準備するのが理想的ですが、預貯金を全て頭金に充てるのは避け、最低でも半年分の生活費を残しておくことが推奨されます。
さらに、借入額の現実的な目安として返済負担率が挙げられます。返済負担率とは、住宅ローンを含む年間返済額が年収に占める割合で、安全なラインは25%以下とされています。例えば、年収1000万円の場合、年間返済額が250万~350万円以内であれば、無理なく返済できる可能性が高いといえます。
一方で、返済負担率が30%を超えると返済不能に陥るリスクが高まるため、30%を超えないよう借入額を調整することが重要です。これにより、将来的な生活の安定を確保しながらマイホームを購入することが可能となります。
頭金の金額
住宅ローンの借入額に応じた毎月の返済額と総返済額の違いを具体的に見てみましょう。以下の表は、借入額2000万円と1600万円の場合について、金利1%、借入期間35年で計算したものです。
借入額 | 毎月の返済額 | 総返済額 | 差額(総返済額) |
---|---|---|---|
2000万円 | 約56,000円 | 約2,352万円 | – |
1600万円 | 約45,000円 | 約1,882万円 | 約470万円 |
ポイント
- 毎月の返済額の軽減
借入額が2000万円から1600万円に減ることで、毎月の返済額が約11,000円減少します。これは家計への負担軽減に直結します。 - 総返済額の差
頭金を400万円用意することで、最終的に約470万円の返済総額を減らすことが可能です。長期的な経済的メリットは非常に大きいといえます。 - 家賃との比較
現在の家賃が月8万円の場合、頭金を準備して借入額を抑えることで、住宅ローンの毎月の返済額は家賃よりも大幅に下がる可能性があります。
頭金を支払うことは、月々の返済負担を軽減し、総返済額を抑えるために非常に有効です。また、金融機関からの信頼性が高まり、ローン審査においても有利に働く可能性があります。
頭金がすぐに用意できない場合、賃貸に住み続けながら頭金を貯める方法が一般的です。しかし、その間に発生する家賃負担が最終的な総費用を押し上げることもあるため、別の選択肢として、頭金なしで住宅を購入し、その後に繰り上げ返済を行う方法も検討する価値があります。この方法では、初期段階での借入額は増えるものの、将来的には総費用を抑えられる可能性があります。
頭金の金額について明確な基準はありませんが、一般的には住宅購入価格の1~2割を支払うケースが多いです。たとえば2000万円の住宅を購入する場合、頭金として200万~400万円を準備するのが一般的とされています。ただし、頭金を多く用意することは借入額を減らすうえで有効である一方、全貯金をつぎ込むのはリスクが伴います。急な出費や予期せぬトラブルに備えるため、最低でも半年分の生活費を手元に残しておくことが大切です。
さらに、新居への入居時には、引っ越し代や家具・家電の購入費用、固定資産税、火災保険料などさまざまな出費が発生します。こうした費用を見越して余裕を持った資金計画を立てることが必要です。繰り上げ返済を活用することで借入期間を短縮したり、利息総額を削減することも可能ですので、頭金の準備方法とタイミングについては、自身の家計状況や将来の収入見込みを考慮して慎重に判断する必要があります。
資金が足りない時
住宅ローンには当然ながら審査があり、誰もが希望通りの金額を借りられるわけではありません。審査に通らなかったり、希望額よりも少ない融資しか受けられない「減額承認」となる場合もあります。しかし、このような状況に直面したとしても、必ずしもマイホーム購入を諦める必要はありません。
融資が希望額に満たない場合、いくつかの選択肢を検討することが可能です。たとえば、購入を予定していた物件の価格帯を見直し、予算に合った物件を再検討する方法があります。また、頭金を増やすために一定期間資金を貯め直し、再度審査に挑むのも一つの手です。さらに、他の金融機関で再審査を受けることで、より好条件で融資を受けられる可能性もあります。
減額承認となった場合でも、工夫次第でマイホーム購入の道は開けます。大切なのは柔軟な視点を持ち、自分に合った解決策を探ることです。焦らずに計画を立て直すことで、現実的な形で夢を実現するチャンスをつかむことができるでしょう。
住宅ローン審査で減額承認となった場合、希望の融資額との差額を自己資金で補うか、融資額に見合った物件に切り替える必要があります。もし自己資金を新たに準備するのが難しく、どうしてもその物件が欲しい場合は、別の金融機関で再審査を受ける方法も考えられます。ただし、必ずしも期待通りの結果が得られるとは限らない点には注意が必要です。
新築物件の購入を検討していた場合、視点を変えて中古物件を選択肢に入れることも有効です。同じエリアで、利便性や広さといった条件を満たしながら、新築物件よりも価格が抑えられている中古物件が見つかることも少なくありません。中古物件ならではの魅力やコストパフォーマンスの高さを考慮しながら選ぶことで、融資額に応じた現実的な選択が可能になります。
物件の選び直しや希望条件の見直しは、最初の計画を再考する良い機会とも言えます。柔軟な対応で自分に合ったマイホーム購入の実現を目指してみてはいかがでしょうか。
金利の種類
住宅ローン金利の種類
住宅ローンの金利タイプには、「変動型」「固定期間選択型」「全期間固定型」の3つが代表的です。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解することが大切です。
1. 変動型(変動金利型)
メリット
- 金利が低い:最初の金利が低く、返済額が比較的少ないため、初期の返済負担が軽い。
- 金利の見直し:半年ごとに金利が見直されるため、金利が下がれば返済額も減少する可能性がある。
デメリット
- 金利上昇のリスク:金利が上昇すると返済額も増えるため、将来的に負担が大きくなる可能性がある。
- 不安定さ:金利が頻繁に変動するため、返済計画が立てにくい場合がある。
2. 固定期間選択型(固定金利期間選択型)
メリット
- 一定期間の金利固定:一定期間(例えば5年、10年など)は金利が固定されるため、返済額が安定している。
- 金利上昇リスク回避:固定金利期間中は金利上昇のリスクを回避できる。
デメリット
- 期間終了後の金利変動:固定期間終了後は、金利が市場金利に合わせて変動するため、その後の返済額に不安が残る。
- 固定期間の金利が高め:最初に選択する固定期間の金利が変動型より高いことが一般的。
3. 全期間固定型(フル固定金利型)
メリット:
- 金利の安定性:借入時に金利が固定されるため、全期間にわたって返済額が安定する。
- 将来の金利上昇リスク回避:市場金利の変動に関係なく、返済額が一定のため、長期的に計画的な返済が可能。
デメリット
- 金利が高め:変動型や固定期間選択型と比較して、最初の金利が高くなることが多い。
- 金利が下がっても反映されない:市場金利が下がった場合でも金利が固定されているため、メリットを享受できない。
これらの金利タイプは、それぞれ異なる特徴を持っており、自分のライフプランやリスク許容度に合わせて選択することが重要です。金利が低い変動型は短期的には有利ですが、将来のリスクも考慮し、安定性を重視する場合は固定金利タイプを選ぶことが検討されます。
自分たちの生活に合った金利選び
住宅ローンは毎月支払っていくものなので、その分毎月の家計に負担がかかります。そして、それ以外にも生活費や光熱費、子どものための教育費、生命保険料など出ていくものは住宅ローンだけではありません。さらには老後のための資金も貯めていかなければいけません。
人によって家族の人数やかかる生活費などバラバラですので、自分たちの生活に合った金利選びをしていく必要があります。
ここでは、まず変動型・固定期間選択型・全期間固定型の3つのタイプについて、それぞれの概要とメリット・デメリットをお伝えします。さらに、そのほかの金利型についても紹介していきます。
変動型とは?特徴からメリット・デメリットまで
変動型の住宅ローンは、金利が借入れ時から半年ごとに見直される特徴があります。初期の金利が低いため、返済額も比較的抑えられる点がメリットですが、金利が上昇すれば返済額も増えるリスクがあります。反対に金利が下がれば返済額が安くなるため、短期的には有利な場合もあります。しかし、金利の変動を予測するのは難しく、将来的な返済額をシミュレーションする際には、金利が上昇する可能性も想定しておく必要があります。
金利の見直しは「短期プライムレート」を基準にして行われ、このプライムレートは主に国内経済や景気動向に影響されます。特に景気が良い時には金利が上がる傾向があり、逆に景気が悪化すると金利が下がることがあります。そのため、変動型ローンを選ぶ際には、日々の経済状況に注目しておくことが重要です。
変動型ローンの特徴として、金利が見直されるタイミング(半年ごと)に注目し、金利上昇時に備えた返済計画を立てることが求められます。予測が難しいため、返済負担が過度にならないよう慎重にシミュレーションし、計画的に選択することが大切です。
変動型のメリット
変動型住宅ローンの主なメリットは、他の金利タイプに比べて金利が低いため、返済額が安くなる点です。特に、さまざまな優遇条件が適用されると、固定期間選択型や全期間固定型と比べて金利が約1%も低くなる場合があります。このため、金利が上昇しない限り、変動型ローンは返済負担が軽くなりやすいです。
また、金利が下降すれば返済額も減少するため、金利が低い環境であれば変動型ローンはさらに有利に働きます。対照的に、固定型ローンでは金利が下降しても返済額は変わりません。これにより、金利が下がった際には変動型ローンのほうが大きなメリットを享受できる点が魅力的です。
変動型のデメリット
変動型住宅ローンの主なデメリットは、金利が上昇すると返済額も増えてしまう点です。将来的に金利が上昇した場合、毎月の返済額が増加し、家計への負担が大きくなるリスクがあります。このため、金利が上昇した場合でも無理なく支払いを続けられるよう、事前にシミュレーションを行い、増加分を見越した返済計画を立てておくことが重要です。
変動型住宅ローンには「5年ルール」と「1.25倍ルール」という仕組みがあります。これらは金利が上昇した際に、毎月の返済額の急激な増加を防ぐための調整措置です。
「5年ルール」は、金利が見直されても、最初の返済額が5年間は変更されない仕組みです。そして「1.25倍ルール」は、金利見直し後に返済額が増加する場合でも、直前の返済額の1.25倍を超えないようにする制限です。
一見、これらのルールは借り手にとってメリットがあるように感じられますが、増加した利息や元金の返済が免除されるわけではありません。あくまで返済を先送りにする仕組みであり、最終的には金利上昇によって生じた負担を支払わなければならない点に注意が必要です。これらのルールを理解し、金利が上昇した場合の総返済額や支払期間の延長についてもシミュレーションしておくことが重要です。
固定期間選択型とは?特徴からメリット・デメリットまで
固定期間選択型の住宅ローンでは、3年、5年、10年といった一定の期間、金利が固定されます。この期間中は金利の変動リスクがなく、安定した返済計画を立てられる点が特徴です。ただし、固定期間が長くなるほど金利は高く設定される傾向にあります。
固定期間が終了すると、その時点で金利タイプを再度選択できる仕組みも、このタイプの特徴の一つです。終了後は、再び固定金利を選ぶことも、変動型に変更することも可能です。そのため、金利動向を見極めて柔軟に対応できる点が、固定期間選択型のメリットといえるでしょう。
このような仕組みを活用するためにも、固定期間終了後の金利や返済額のシミュレーションを事前に行い、将来的な家計負担を見据えて計画を立てることが重要です。
固定期間選択型では、固定期間が終了する際に何も手続きをしないと、自動的に変動型に移行する仕組みになっています。この点には注意が必要で、固定期間終了前に自分の希望する金利タイプを銀行に伝えることが大切です。
また、固定期間中は金利のタイプを変更することができない点もデメリットの一つです。さらに、固定期間終了後に変動型を選択した場合、一部の金融機関では再び固定型に戻せないルールがあるため、慎重に検討する必要があります。
加えて、固定期間選択型では、変動型に見られる「1.25倍ルール」などの制約が適用されません。そのため、固定期間終了後に金利が大幅に上昇していた場合には、返済額が大きく増えるリスクがあることも留意しておきましょう。
固定期間選択型のメリット
固定期間選択型のメリットとして、固定期間中は返済額が一定であるため、家計管理がしやすくなる点が挙げられます。たとえば、「20年後には子育てが終わり、生活に余裕ができるだろう」といった将来の見通しに基づき、20年固定を選ぶなど、自分のライフステージに合わせた選択が可能です。
また、固定期間が終了した後には金利タイプを選べる柔軟性も、このタイプの魅力です。その時点の経済状況や金利動向に応じて、再び固定型を選ぶことも、変動型に切り替えることもできるため、状況に応じた有利な選択が可能です。
固定期間選択型のデメリット
固定期間選択型のデメリットとして、固定期間終了後の返済額が大幅に上がる可能性が挙げられます。このタイプには変動型にある1.25倍ルールなどの制限が適用されないため、金利が急上昇した場合、固定期間終了後の返済額が極端に増えるリスクがあります。
また、固定期間が終了すると、その後の返済額が確定しない点もデメリットです。固定期間中は返済額が一定で家計管理がしやすい一方、終了後は金利動向次第で返済額が大きく変動する可能性があり、先々の家計計画が立てにくくなる点に注意が必要です。
全期間固定型とは?特徴からメリット・デメリットまで
全期間固定型は、金利が借入期間を通じて変わらないため、返済額が一定で安定しており、家計管理がしやすい点が特徴です。この安定性は、将来の金利上昇リスクを回避したい方にとって大きなメリットとなります。
全期間固定型の代表的な商品には、住宅金融支援機構が提供する「フラット35」があります。このローンは、借入期間が15年以上35年以内の場合に利用でき、各金融機関で取り扱っています。適用金利は金融機関ごとに異なるため、複数の金融機関を比較して選ぶことが大切です。
全期間固定型のメリット
全期間固定型のメリットとして、まず挙げられるのは返済額が固定されていることによる安心感です。たとえ金利が将来的に上昇したとしても、契約時に決まった返済額が変わらないため、金利変動による負担増加を心配する必要がありません。
さらに、返済額が一定であるため、将来の支出計画が立てやすくなります。生活費や光熱費、子どもの教育費、貯蓄など、長期的な家計管理を行いやすいのも大きな利点です。この安定性は、金利の変動リスクを避けたい人や、特に収入が一定である世帯に向いています。
全期間固定型のデメリット
全期間固定型にはデメリットもあります。変動型と比較すると、金利が高めに設定されているため、同じ借入額であっても月々の返済額や総支払額が大きくなりやすい点が挙げられます。また、金利が下降してもその恩恵を受けることができないため、結果として変動型よりも利息負担が大きくなる場合があります。
それ以外の金利タイプ
他の金利タイプとして、「段階金利型」や「二段階金利型」などがあります。
段階金利型は、一定期間ごとに金利が段階的に変わる仕組みで、最初の数年間は低金利で始まり、その後段階的に金利が上昇していく特徴があります。このタイプは、最初の返済額を抑えたい人や将来的に収入増加が見込まれる人に向いていますが、金利上昇後の返済額増加に注意が必要です。
二段階金利型は、最初の一定期間が固定金利で、その後は変動金利に切り替わるタイプです。初期の固定金利期間に安心感を得られる一方、変動金利に切り替わった後の金利上昇リスクも考慮する必要があります。
これらの金利タイプは、各金融機関によって提供される内容が異なります。自分に合った返済プランを立てるためにも、金利タイプや条件をしっかり比較検討することが大切です。
住宅ローン控除について
住宅ローン控除(減税)とは
住宅ローン控除とは、10年以上の返済期間がある住宅ローンを利用して住宅を購入した場合、一定の条件を満たすことで、入居した年から最長13年間、年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税から控除できる制度です。この控除は所得税だけに留まらず、所得税で控除しきれない分については翌年の住民税から差し引かれる仕組みとなっています。ただし、控除額が自身の納税額を超える場合、それ以上の還付は受けられません。
この制度は一般的に「住宅ローン控除」や「住宅ローン減税」と呼ばれますが、正式名称は「住宅借入金等特別控除」です。利用を検討する際には、控除の対象となる条件や適用範囲を十分に確認しておく必要があります。
なお、住宅ローン控除は制度が随時改正されているため、住宅購入やローン利用を計画する際には最新の情報を確認することが重要です。控除率や適用条件が変更される可能性もあるため、税務署や専門家に相談することをおすすめします。
【2024年】住宅ローン控除制度の改正ポイント
省エネ基準を満たさない新築住宅が住宅ローン控除の適用外となる点は、2024年からの大きな改正です。2024年1月以降に建築確認を受ける新築住宅については、エネルギー消費量や断熱性能など、一定の省エネ基準を満たしていなければ住宅ローン控除の対象になりません。この改正は、地球温暖化問題に対応するための政策強化の一環です。
国は住宅分野でも省エネルギー対策を推進しており、2022年には建築物省エネ法が改正されました。この改正により、2025年4月からはすべての新築住宅に対して省エネ基準の適合が義務付けられる予定です。住宅ローン控除においては、これに先立って2024年から省エネ基準の適合が必須要件となりました。
ただし、省エネ基準を満たしていない住宅であっても、以下の条件を満たす場合には「借入限度額2,000万円・控除期間10年間」の住宅ローン控除が適用されます。
- 2023年中に建築確認を受けている住宅
- 2024年6月30日までに工事が完了した住宅
このような条件に該当する場合は例外的に控除の適用が可能なため、建築時期や工事の進捗状況を確認することが重要です。
新築・買取再販の借入限度額の引下げ
2つ目の改正点は、新築住宅および買取再販住宅における住宅ローンの借入額上限の縮小です。買取再販住宅とは、不動産会社が中古住宅を一度購入し、リフォーム後に再販売する住宅を指します。この改正により、住宅の種類によって借入限度額が以下のように縮小されます。
【住宅の種類ごとの縮小額】
住宅の種類 | 借入限度額(2022・2023年) | 借入限度額(2024年) | 縮小額 |
---|---|---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅 | 5,000万円 | 4,500万円 | 500万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円 | 1,000万円 |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 | 1,000万円 |
その他の住宅 | 3,000万円 | 0円(適用外) | 3,000万円 |
新築住宅については、上記のように各住宅の種類ごとに借入限度額が引き下げられます。特に「その他の住宅」については、2024年からは住宅ローン控除の適用がなくなるため、借入限度額が0円となります。
なお、中古住宅に関しては借入限度額の改正はありません。長期優良住宅や省エネ基準適合住宅については3,000万円が上限となり、その他の住宅は2,000万円が上限となります。
この改正により、借入額の上限が縮小されるため、購入を検討している人は自分が購入しようとしている住宅の種類を確認し、控除の適用や借入限度額の変更点を意識しておくことが重要です。
子育て世帯・若者夫婦世帯は借入限度額の縮小が見送りに
3つ目の改正点は、子育て世帯および若者夫婦世帯における借入限度額の縮小見送りです。急激な住宅価格の上昇や子育て世帯への支援強化を背景に、これらの世帯については、省エネ基準を満たさない「その他の住宅」を除き、先述した借入限度額の縮小が行われません。
具体的には、子育て世帯や若者夫婦世帯は、2024年に入居する場合でも、2023年までの借入限度額が維持されることとなります。ただし、省エネ基準を満たさない新築や買取再販住宅では、住宅ローン控除を受けることができません。
なお、子育て世帯は19歳未満の子どもがいる世帯を指し、若者夫婦世帯は夫婦のうちいずれかが40歳未満の世帯を指します。この改正により、これらの世帯が住宅ローンを利用する際に、借入限度額の縮小を避けることができるため、支援が拡充された形となります。
新築住宅の床面積要件の緩和措置における建築確認期限の延長
4つ目の改正点は、新築住宅の要件緩和措置における建築確認期限の延長です。この緩和措置では、床面積が50平方メートル以上の住宅が住宅ローン控除の対象となっているところ、合計所得金額1,000万円以下の人が新築住宅を購入する場合に、床面積要件が40平方メートル以上に緩和されるというものです。
この要件緩和措置の適用対象となる建築確認の期限が、2023年12月31日までから2024年12月31日までに延長されました。これにより、2024年12月31日までに建築確認を受けた新築住宅について、合計所得金額1,000万円以下の場合は、床面積が40平方メートル以上であれば住宅ローン控除を受けられるようになります。
主な要件は以下の通りです:
- 自らが居住するための住宅であること
- 床面積が50平方メートル以上(2024年12月31日までに建築確認を受けた新築住宅に関しては、合計所得金額1,000万円以下で床面積40平方メートル以上でも可)
- 住宅ローンを借りた人の合計所得金額が2,000万円以下であること(床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は1,000万円以下)
- 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
- 引渡しまたは工事完了から6ヵ月以内に入居したこと
この改正により、より多くの人々が住宅ローン控除の恩恵を受ける機会が増えることが期待されています。
【住宅の種類別】住宅ローン控除(減税)の適用条件
新築住宅について、住宅ローン控除を適用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
新築住宅の場合の適用条件
新築住宅を購入する場合、住宅ローン控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。これらの条件は、2024年1月以降に住宅ローン控除を適用するための要件に基づいています。
- 居住開始の要件
住宅の引渡し日または工事完了日から6ヵ月以内に実際に居住を開始する必要があります。住宅ローン控除は、実際に居住した住宅に対してのみ適用されます。 - 所得制限
住宅ローン控除を受ける人の合計所得金額が2,000万円以下であることが条件です。これにより、高所得者が控除を受けることを防ぎ、支援を必要とする層に優遇措置が行われます。 - 床面積の要件
対象となる住宅の床面積は50平方メートル以上で、床面積の2分の1以上が自分の居住用である必要があります。ただし、2024年12月31日までに建築確認を受けた新築住宅で、合計所得金額が1,000万円以下の場合は、住宅の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満でも適用されます。 - 返済期間の要件
住宅ローンは割賦償還方式で、返済期間が10年以上である必要があります。これにより、長期的な返済計画に基づく支援が可能となります。 - 居住用財産の特例の非適用
居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税特例を過去5年間に利用していないことが条件です。これにより、過去に税制優遇を受けた人が再度恩恵を受けることを避けることができます。 - 省エネ基準適合の証明
2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅においては、一定の省エネ基準に適合していることを示す証明書が必要です。この証明書には、「建設住宅性能評価書」または「住宅省エネルギー性能証明書」が使用されます。省エネ基準の適合を確認するため、これらの証明書の交付を受ける必要があります。
注意点
- 床面積の違い
売買契約書と登記簿で床面積が異なる場合があります。住宅ローン控除を受ける際には、登記簿に記載された床面積が判断基準となるため、計算方法に違いがあることを考慮する必要があります。
これらの条件を満たすことで、住宅ローン控除を受けることができますので、住宅購入を検討する際には、条件に合った住宅を選ぶことが重要です。
買取再販の場合の適用条件
買取再販住宅において住宅ローン控除を適用するためには、以下の条件を満たす必要があります。これらの条件は、新築住宅の適用条件に加えて、買取再販住宅特有の要件です。
- 宅地建物取引業者から取得
住宅は宅地建物取引業者(不動産業者)から購入する必要があります。これにより、物件が正式に販売されることが保証されます。 - 再販までの期間
宅地建物取引業者が住宅を取得し、リフォームしてから再度販売するまでの期間が2年以内であることが求められます。これにより、販売された住宅が比較的新しく、リフォーム後の品質が確保されていることが求められます。 - 新築から10年経過
取得時点で、住宅は新築日から10年以上が経過していることが必要です。これは、買取再販住宅が新築から一定の期間を経過した中古住宅であることを示しています。 - リフォーム工事費用の割合
リフォームの工事費用が建物価格の20%以上であることが条件です。これにより、物件が単なる中古住宅ではなく、実質的にリフォームが行われた住宅であることが確認されます。 - 対象工事が行われていること
大規模修繕や耐震基準への適合、バリアフリー改修、省エネ改修など、一定の工事が実施されていることが求められます。これらの工事によって住宅の品質が向上し、安全性や快適性が確保されることが求められます。
注意点
- 買取再販住宅を購入して住宅ローン控除を受ける場合、これらの条件を満たしているかどうかを購入前に販売業者に確認することが重要です。リフォーム内容や工事費用についても確認を怠らないようにしましょう。
中古住宅の場合の適用条件
中古住宅において住宅ローン控除を適用するためには、新築住宅の適用条件に加えて、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 1982年1月1日以降に建築された住宅
この条件を満たすことで、比較的新しい住宅が対象となります。1982年以降に建築された住宅は、当時の建築基準に基づいているため、一定の品質や安全性が担保されています。 - 現行の耐震基準に適合していること
現行の耐震基準に適合している中古住宅も対象となります。これにより、地震に対する耐性が確認されている住宅が対象となり、安全性が確保されます。
なお、1981年以前に建築された中古住宅については、耐震基準を証明するために「耐震基準適合証明書」などの証明書が必要となります。これにより、過去の建築基準に基づく住宅でも、現在の耐震基準に適合しているかどうかを証明することができます。
中古住宅を購入して住宅ローン控除を利用する際は、これらの条件を事前に確認し、必要な書類を準備しておくことが重要です。
リフォーム、増築の適用条件
リフォームや増築を行う際に住宅ローン控除を利用するためには、新築住宅の適用条件に加えて、以下のいずれかの工事に該当することが条件となります。さらに、これらの工事費用が100万円を超えることが求められます。
- 増改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模な模様替え
壁、柱、床、はり、屋根、または階段のいずれか1つ以上の工事を行うことが必要です。これらの工事が規模の大きい修繕や改築に該当します。 - マンションの専有部分の床、階段または壁の過半について行う一定の修繕・模様替え
マンションにおける大規模な修繕や模様替えが対象となります。 - 家屋・マンションの専有部分のうちリビング、キッチン、浴室、トイレ、洗面所、納戸、玄関または廊下の一室の床、または壁の全部について行う修繕・模様替え
特定の部屋や部分に対して行う修繕や改修工事が対象です。 - 耐震改修工事
現行の耐震基準に適合させるための工事も対象です。耐震性を強化することは、安全性向上に繋がります。 - 一定のバリアフリー改修工事
高齢者や障害者の方が住みやすくするための改修工事も対象です。 - 一定の省エネ改修工事
エネルギー効率を改善するための改修工事、例えば断熱性を高める工事なども対象となります。
これらの工事を実施する際には、工事費用が100万円を超えることが必要です。もし工事を2回に分けて行った場合、それぞれの費用が合算されることになるため、分割して行った場合はその都度確認が必要です。
リフォームや増築に関しては新築住宅や中古住宅とは異なる条件や要件があるため、住宅ローン控除を利用する場合は事前に専門家に相談し、適用条件をしっかり確認することが重要です。
住宅ローン控除(減税)の対象となるローン
住宅ローン控除を受けるためには、合計所得金額が2,000万円以下であり、返済期間が10年以上の割賦償還方式のローンを利用していることに加え、次の条件を満たす必要があります。
- 自己居住用の住宅とその敷地を取得するための借入れで、一体として借入れられていること
住宅ローンが、住宅とその敷地を一体として購入するためのものである必要があります。 - 借入れ先が以下のいずれかであること
住宅ローン控除は、特定の金融機関や機関からの借入れに限られます。以下のいずれかが対象となります。- 銀行
- 農協・信用金庫・信用組合
- 住宅金融支援機構
- 地方公共団体
- 各種公務員共済組合
- 勤務先(ただし、市場金利を換算して定められた0.2%以上の金利、2016年12月31日以前に居住用とした場合は1%以上の金利が適用されます)
なお、親族や知人などの個人からの借入金や、自身が役員となっている企業や親族の会社からの借入金は対象外となります。
これらの条件を満たすことにより、住宅ローン控除を受けることができます。
他の特例との関係
住宅ローン控除が適用される条件を満たしていても、他の税制上の特例との兼ね合いで、控除を受けられないケースもあります。例えば、以下のような場合です。
- 特定居住用財産の買換え特例
住宅を売却して新しい住宅を購入する際に適用される特例ですが、この特例を受けている場合、住宅ローン控除は原則として利用できません。 - 3,000万円特別控除
住宅を売却した際に適用される特別控除で、これを利用した場合にも住宅ローン控除は利用できない場合があります。
また、住宅ローン控除は「課税されるべき所得税」がある場合にのみ適用されます。所得税が少なすぎる、または課税されない場合には、控除を受けることができません。
税制に関しては複雑な部分も多いため、住宅ローン控除を利用したい場合や他の特例との兼ね合いが気になる場合は、税理士などの専門家に相談することが非常に重要です。
住宅ローン控除(減税)で一体いくら税金が戻ってくるのか
住宅ローン控除の最大控除額は、住宅の種類や居住開始年、借入額、控除率に応じて異なります。具体的には、以下の条件が影響します。
新築住宅・買取再販住宅
住宅の種類 | 居住開始年 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 | 年間控除額 | 合計控除額 |
---|---|---|---|---|---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅 | 2024年 | 4,500万円(子育て・若者世帯は5,000万円) | 0.70% | 13年 | 31.5万円(子育て・若者世帯35万円) | 409.5万円(子育て・若者世帯455万円) |
ZEH水準省エネ住宅 | 2024年 | 3,500万円(子育て・若者世帯4,500万円) | 0.70% | 13年 | 24.5万円(子育て・若者世帯31.5万円) | 318.5万円(子育て・若者世帯409.5万円) |
省エネ基準適合住宅 | 2024年 | 3,000万円(子育て・若者世帯4,000万円) | 0.70% | 13年 | 21万円(子育て・若者世帯28万円) | 273万円(子育て・若者世帯364万円) |
既存住宅
住宅の種類 | 居住開始年 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 | 年間控除額 | 合計控除額 |
---|---|---|---|---|---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅 | 2022年~2025年 | 3,000万円 | 0.70% | 10年 | 21万円 | 210万円 |
その他の住宅 | 2022年~2025年 | 2,000万円 | 0.70% | 10年 | 14万円 | 140万円 |
リフォーム住宅
住宅の種類 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 | 年間控除額 | 合計控除額 |
---|---|---|---|---|---|
リフォーム住宅 | 2,000万円 | 0.70% | 10年 | 14万円 | 140万円 |
注意点
- 住宅ローン控除は、実際にはローン残高が減っていくため、控除額も年々減少します。
- 所得税額が控除額を下回る場合、控除可能額のすべてを利用できないため、残額部分は翌年の住民税から控除されます。ただし、住民税からの控除にも上限(9.75万円)がある点に注意が必要です。
住宅ローンを利用する際は、金融機関のホームページでシミュレーションを行い、毎年のローン残高を調べることで、実際の控除額を把握することが重要です。
住宅ローン控除(減税)の計算方法
住宅ローン控除では、毎年の控除額は以下の2つの計算方法からいずれか低い金額が適用されます。
- 年末時点の住宅ローン残高 × 0.7%
- 住宅の取得等の対価の額または費用の額(所定の補助金や贈与等の金額が控除される場合あり)
つまり、控除額は年末時点の住宅ローン残高に基づいて計算されることが多いですが、購入時の住宅の取得額や関連費用が少ない場合、それが控除額の上限となることもあります。
例: 長期優良住宅・低炭素住宅の場合
- 最大控除額の計算(例)
住宅ローン残高が4,500万円の場合、最大控除額は
4,500万円 × 0.7% = 31.5万円
となります。 - 実際の控除額
もし年末時点での住宅ローン残高が4,000万円だった場合、実際に受けられる控除額は
4,000万円 × 0.7% = 28万円
となり、31.5万円の最大控除額よりも少ないため、28万円が適用されます。
注意点
- 年末残高が基準となるため、年々残高が減少していくと控除額も減ります。
- また、購入価格や借入額が控除額の上限を制限する場合もあるため、実際にどれだけ控除を受けられるかは、年末時点の住宅ローン残高に依存します。
いくら戻るか調べるならシミュレーションを行う
2024年に入居する長期優良住宅の新築を購入した場合、住宅ローン控除の計算は以下のようになります。住宅の取得金額は3,500万円で、年末時点の住宅ローン残高が3,000万円です。最大控除額は4,500万円の借入限度額に対して0.7%の控除率が適用されるため、31.5万円となります。しかし、住宅ローン残高に基づく控除額は3,000万円 × 0.7%で21万円となり、実際に適用される控除額は21万円です。
次に、所得税と住民税にどのように控除が反映されるかを見ていきます。本来納めるべき所得税は7万円です。住宅ローン控除額は21万円なので、所得税の7万円は全額控除され、残りの14万円は住民税から控除されることになります。ただし、住民税からの控除には上限があり、最大9.75万円まで控除可能です。したがって、住民税から控除される金額は9.75万円です。
最終的に、住宅ローン控除によって所得税から7万円、住民税から9.75万円が控除され、合計16.75万円の控除を受けることができます。
住宅ローン控除(減税)の手続き方法と注意点
住宅ローン控除を受けるための1年目には、確定申告を行わなければなりません。確定申告とは、1年間の所得や税金に関する申告を行い、税金の過不足を確認して調整する手続きです。この申告は、翌年の2月16日から3月15日の間に行います。
新築住宅に入居する場合、2024年度以降に長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅などに入居すると、確定申告時にそれぞれの住宅性能を証明する書類を提出する必要があります。
確定申告を行う際には、以下の書類が必要です。
- 確定申告書:これは国税庁のホームページや最寄りの税務署から入手できます。
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書:これも国税庁のホームページや税務署から取得可能です。
- 住宅ローンの借入残高証明書:借入れした金融機関から取り寄せます。
- 勤務先の源泉徴収票:勤務先から受け取ります。
- 土地建物の登記簿謄本:法務局の窓口やオンライン申請システムで入手できます。
- 建築請負契約書または売買契約書のコピー:これらは工務店や不動産会社から取得します(2022年入居の方まで必要)。
- マイナンバーカード(本人確認書類):市区町村役場で取得します。
- 住宅性能を示す書類:これらは工務店や不動産会社から取り寄せます。
これらの書類を準備して、税務署に提出することで、住宅ローン控除の適用を受けることができます。確定申告書や計算明細書は、ご自身で記入し作成する必要があるため、事前に必要事項を確認しながら準備しましょう。
いつまでに?確定申告の流れ
確定申告は、毎年2月16日から3月15日までの間に、住んでいる地域を管轄する税務署で手続きを行うことができます。必要な書類を準備すれば、税務署への持参や郵送での申告が可能です。さらに、インターネットで申告を行うこともできます。
インターネットで手続きをする場合、まず必要書類を手元に揃えて、国税庁の確定申告書作成コーナーにアクセスします。ウェブサイトに従って入力を進めると、計算が自動で行われるので便利です。
確定申告の方法が不明な場合や記入方法に疑問がある場合は、税務署に直接相談するとよいでしょう。また、住宅ローン控除を受けるためだけに確定申告を行う場合、居住開始年の翌年1月1日以降であれば、申告は2月16日を待たずに行うことができます。
2年目以降の手続き方法と注意点
住宅ローン控除の手続きは毎年必要ですが、確定申告は毎年行う必要はありません。会社員の場合、2年目以降は会社の年末調整で住宅ローン控除の手続きが行われます。この場合、金融機関の残高証明書や税務署から届く書類などを勤務先に提出すれば、住宅ローン控除の手続きが進みます。
一方、フリーランスや個人事業主など、源泉徴収制度に該当しない人は、1年目と同様に確定申告が必要です。必要書類を申告書に添付し、税務署に提出することで住宅ローン控除を受けることができます。
手続きを忘れたら還付申告を
住宅ローン控除の適用を一度受けても、2年目以降は自動的に控除されるわけではありません。手続きをうっかり忘れてしまうこともあるかもしれませんが、その場合でも還付申告を行うことで対処できます。
還付申告には期限があり、その期限を過ぎると申告ができなくなってしまうため、申告を忘れたことに気付いたら、速やかに税務署に相談して手続きを行うことが重要です。
金利動向
最新のトピックス
住宅ローンの金利は、固定金利と変動金利の両方が異なる指標に影響を受けます。固定金利は主に10年国債金利に影響され、変動金利は短期プライムレートに基づいて決まります。短期プライムレートは、日本銀行の政策金利に密接に関連しており、その動向を把握することが重要です。
2024年3月に、日本銀行の金融政策決定会合でマイナス金利の解除が決まり、その後、2024年7月31日の会合で0.25%の利上げが行われました。この時点で、変動金利の基準となる短期プライムレートが15年ぶりに上昇しました。この動きは、変動金利に影響を及ぼし、住宅ローン金利にも変動が見込まれることを意味します。
さらに、9月の金融政策決定会合では、利上げは緩やかに行うと発表されましたが、11月には10年国債金利が一時的に1.9%台に上昇したことから、利上げのスピードが加速する可能性が高まっています。このため、2024年12月18日から19日に行われる金融政策決定会合でさらに金利の動向が決まると予想されています。
今後、利上げや短期プライムレートの上昇に伴い、住宅ローン金利も上昇する可能性があるため、金利の動きについてこれまで以上に注目し、適切なタイミングでの借入を検討することが重要です。
固定金利は長期金利の下落の影響
2024年12月1日現在、住宅ローンの金利動向を見てみると、変動金利については11月と同じ水準を維持している金融機関が多いようです。これは、政策金利の動向や短期プライムレートの影響がまだ顕著でないため、変動金利の即時の変動が少ないことを示しています。
一方、固定金利はほとんどの金融機関で上昇しており、これは主に10年国債金利の上昇が影響しています。国債金利の上昇は、長期金利に直接関わるため、固定金利が引き上げられる傾向が強まっています。このため、固定金利を選択する場合、現在の金利が高めになっていることを考慮し、今後の金利動向を慎重に見守ることが重要です。
このように、金利動向が変動する中で、借り入れ時に固定金利と変動金利の選択肢をどう考えるか、また、金利上昇のタイミングを見越して計画的に借り入れを行うことが大切です。
低金利が続く今だからこそ借り換えの検討
住宅ローンの金利は海外の経済事情や金融情勢などの影響を受けて、上がったり下がったりするものです。現状では、長期金利が下落傾向となっており、今回の住宅ローン金利の動きが一時的なものなのか、これからの動向に目が離せません。これから住宅ローンを新規で利用しようという人に限らず、現状利用しているローンの金利が高く、そのため借り換えを検討しているという人にとっては、タイミングをしっかりと見極めて行動に起こす必要があるといえます。
変動金利・固定金利の推移
主要都市銀行の金利(中央値)は、変動型で0.473%、固定期間選択型(10年)で1.496%となっています。金利の推移を見ていくと、それまで0.3%台を推移していた変動金利が2024年10月から0.4%台に上昇している点は見逃せません。固定金利については固定期間選択型(10年)、全期間固定型ともに前月よりも上昇しています。
長期金利の指標である10年国債の金利は、2023年1月には0.4~0.5%台を推移していたものの、その後2024年5月以降1%台を推移していました。2024年8月に入って1%をわずかに下回る動きを見せ始めていたものの、2024年11月に入ってから1%を超える上昇傾向にあることから、固定金利を引き上げる金融機関が大半を占めています。今後金利がどのような動きを見せるか、注目していきたいところです。
金利動向:変動型
2024年12月1日現在の住宅ローンの変動金利について、主要な金融機関の金利を確認すると、いくつかの金融機関で金利が横ばいのまま維持されていますが、注目すべき点は以下の通りです。
- auじぶん銀行:0.194%(前月:0.329%)—金利が引き下げられています。
- 三菱UFJ銀行:0.345%(前月と変わらず)—変動なし。
- みずほ銀行:0.375%(前月と変わらず)—変動なし。
- りそな銀行:0.390%(前月と変わらず)—変動なし。
- 埼玉りそな銀行:0.390%(前月と変わらず)—変動なし。
主要14行のうち、1行は前月より金利が引き下げられ、2行は引き上げられているため、金利動向が一部金融機関に影響を与えていることがわかります。特に、2024年9月2日に短期プライムレートが15年ぶりに上昇した影響が、変動金利に現れている点が注目されます。
住宅ローンを利用する際には、金利だけでなく、事務手数料やその他の経費についても十分に確認することが重要です。金融機関によっては、保険が無料で付帯されるなど、追加サービスが提供される場合もあるので、総合的なコストを比較検討することが大切です。
金利動向:固定期間選択型(10年)
2024年12月1日現在の固定期間選択型(10年)の金利動向について、主な金融機関の金利は以下の通りです。
- SBI新生銀行:1.000%(前月:0.950%)—金利が引き上げられています。
- PayPay銀行:1.205%(前月:1.165%)—金利が引き上げられています。
- 三菱UFJ銀行:1.220%(前月:1.120%)—金利が引き上げられています。
- auじぶん銀行:1.260%(前月:1.285%)—金利が少し引き下げられています。
- イオン銀行:1.300%(前月:1.260%)—金利が引き上げられています。
固定期間選択型(10年)の金利は、特に10年国債の金利が11月以降も上昇傾向にある影響を受けて、多くの金融機関で引き上げられています。これにより、固定金利の借入を検討している人々には、金利上昇の影響を受ける可能性があります。
また、民間の住宅ローンでは、契約した月ではなく、実行時の金利が適用されるのが一般的であるため、住宅ローンを実行するタイミングをしっかり把握することが重要です。特に、金利を引き下げた金融機関が2行ある点にも注意が必要で、今後の金利動向や自分にとって有利なタイミングを見極めることが大切です。
金利動向:全期間固定型
2024年12月1日現在の全期間固定型の金利動向は、以下の通りです。
- SBI新生銀行:1.700%(前月:1.550%)—金利が引き上げられています。
- ARUHI:1.860%(前月:1.840%)—金利が引き上げられています。
- イオン銀行:1.860%(前月:1.840%)—金利が引き上げられています。
- 楽天銀行:1.860%(前月:1.840%)—金利が引き上げられています。
- 住信SBIネット銀行:1.915%(前月:1.815%)—金利が引き上げられています。
全期間固定型では、12月に入って金利が引き上げられた金融機関が多く見られます。特に、主要14行の中で金利を引き下げたのは1行のみで、残りの金融機関は11月から引き続き金利を引き上げています。これにより、金利上昇傾向が続いていることがわかります。全期間固定型で住宅ローンを考えている場合、金利の上昇を踏まえて早めの決定が重要かもしれません。
銀行を選ぶ5つのポイント
金利タイプ(変動金利・固定金利)
住宅ローンを選ぶ際には、まず金利タイプを基準に検討することが重要です。金利タイプは大きく「変動金利」と「固定金利」の2つに分かれています。固定金利にはさらに、「全期間固定型」と「固定期間選択型」の2種類があります。
「全期間固定型」は、ローンの返済が始まってから終了するまで金利が一定であるため、将来的な金利上昇のリスクを避けたい人に向いています。一方、「固定期間選択型」は、特定の期間だけ金利が固定され、その期間終了後に金利が見直される仕組みです。このタイプは、固定期間中は返済額を安定させつつ、将来的な金利変動を受け入れる柔軟性を持ちたい人に適しています。
変動金利は、一般的に固定金利よりも金利が低く設定されており、現在では特に低金利が続いています。そのため、低金利の恩恵を受けたい人には魅力的な選択肢です。ただし、変動金利は将来の金利上昇により返済額が増えるリスクがあるため、収入や家計の変動に十分対応できる計画が必要です。
金利タイプの選択は、返済計画や自身のライフスタイル、リスクに対する考え方によって大きく異なります。それぞれの特徴を理解したうえで、自分に最適な金利タイプを選ぶことが大切です。
総返済額
住宅ローンを組む際には、金利だけでなく、さまざまな付随する費用にも目を向ける必要があります。具体的には、初期費用、手数料、保険料、不動産取得税や固定資産税などの税金が挙げられます。これらの費用はローンを借りる前後で発生するため、事前にしっかり計算しておくことが重要です。
初期費用には、住宅ローンの事務手数料や保証料、火災保険や地震保険の保険料などが含まれます。また、不動産取得税や登記費用などの税金も必要となります。これらの費用を正確に把握することで、住宅購入にかかる総額を見通すことができます。
住宅ローンの毎月の返済額を計算する際には、これらの付随費用も考慮に入れ、総額が収入や生活費とバランスが取れているかを確認しましょう。無理のない返済計画を立てることは、家計の安定を保つうえで非常に重要です。準備段階で余裕を持った資金計画を立てることで、安心してマイホーム生活を始めることができるでしょう。
繰り上げ返済手数料
住宅ローンを早めに返済したい場合、繰り上げ返済の手数料を事前に確認しておくことが重要です。銀行やローンの種類によって、繰り上げ返済にかかる手数料の有無や金額が異なるためです。
例えば、同じ銀行でも手続き方法によって手数料が異なる場合があります。窓口で手続きを行うと手数料が発生する一方、インターネット経由で手続きを行う場合は無料になることもあります。このような違いを理解しておくことで、不要なコストを避けることが可能です。
繰り上げ返済は、借入期間の短縮や利息の軽減に大きな効果があるため、多くの人にとって魅力的な選択肢となります。そのため、繰り上げ返済を具体的に検討している場合は、契約前に手数料の条件や手続き方法をしっかり確認し、必要に応じて複数の金融機関の条件を比較することをお勧めします。これにより、将来の返済計画をより効率的で負担の少ないものにすることができるでしょう。
団体信用生命保険料
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの返済期間中に契約者が死亡や高度障害といった万が一の事態に陥った場合、保険会社がローンの残債を肩代わりする制度です。これにより、家族に返済の負担が及ばない仕組みとなっています。
最近では団信の内容が多様化しており、糖尿病や肝硬変、高血圧性疾患などの8大疾病に対応するものや、契約者が働けなくなった場合の返済を補償するものも登場しています。これらの団信は、利用者の不安を大きく軽減する一方で、通常の団信に比べて金利が高くなる場合があります。
団信を選ぶ際は、サービスの対応範囲や条件、追加費用をよく確認し、自分のライフスタイルや健康状態に合ったものを選ぶことが重要です。また、住宅ローンを提供する金融機関によって取り扱う団信の種類や条件が異なるため、複数の選択肢を比較検討することをお勧めします。将来的な安心を確保するためにも、団信の選択は慎重に行いましょう。
千葉県の主要地銀の金利は?
千葉県の主要な金融機関の金利については、各銀行の住宅ローン金利は常に変動していますが、一般的に変動金利型と固定金利型があり、金利水準は市場の動向により影響を受けます。
例えば、千葉銀行、京葉銀行、千葉興業銀行などの地元銀行は、地域密着型で金利を設定していますが、大手銀行と比べるとやや低めの金利を提供することもあります。全国展開している銀行(例えば三井住友銀行やみずほ銀行)でも、千葉県内の支店で住宅ローンを取り扱っており、それらの金利は地域や条件によって変わります。
また、信用金庫や農協など、地域密着型の金融機関でも住宅ローンを提供しており、金利や手数料が異なります。最適な住宅ローンを選ぶには、金利だけでなく、手数料や返済条件、そして総返済額をシミュレーションすることが重要です。
住宅ローンを比較する際には、各金融機関が提供している返済額シミュレーションを活用するのが効率的です。
千葉銀行:0.75%
千葉銀行は、千葉県内で住宅ローンシェアがナンバーワンの地方銀行です。特徴的なサービスとして、「がん団信」という団体信用生命保険があります。これは、がんと診断された場合に住宅ローンの残高が0円になる保障です。金利上乗せは+0.10%で、この保障を比較的割安で提供しています。
京葉銀行:0.775%
京葉銀行は、千葉県千葉市に本店を構える第二地方銀行で、住宅ローンの特徴として、事務取扱手数料が定額の220,000円(税込)であることが挙げられます。また、保証料が0円で、諸費用を抑えることができます。一部繰り上げ返済の手数料も0円で、ウェブやATMを利用した繰り上げ返済は無料です。さらに、がん診断特約付の団信保険料が無料で付帯しており、がんと診断された場合、住宅ローンの残高が0円になる保障も提供されています。
千葉興業銀行:1.86%
千葉興業銀行は、千葉県千葉市美浜区に本店を構える地方銀行で、千葉県内では千葉銀行に次ぐ規模の銀行です。住宅ローンの特徴としては、充実した団体信用生命保険が挙げられます。特に「ガン保障付住宅ローン」は、保障料が無料で、がんと診断された場合に住宅ローン残高が0円になります。また、1000万円までのがん先進医療保障や、配偶者のがん保障、入院保障なども無料で付帯され、非常に充実した内容となっています。さらに、WEB事前審査にも対応しており、24時間いつでも申し込みが可能です。
銀行探しでよくある質問
住宅ローンでネット銀行を選ぶデメリットは?
ネット銀行の住宅ローンは、低金利である点が大きな魅力ですが、利用する際にはいくつかのデメリットを考慮する必要があります。まず、ネット銀行は一般的に審査基準が厳格で、収入や信用情報に対して高い基準を求める傾向があります。そのため、審査に通らない可能性があることを念頭に置く必要があります。
また、手続きが全てオンラインで行われるため、慣れていない場合や書類の不備がある場合には手続きが長引くことがあります。さらに、ローン返済が終了する際の手続きが煩雑で、対面サポートが受けられないこともデメリットとして挙げられます。
一見低金利に見えても、保証料や手数料が高く設定されている場合、トータルコストでは他の金融機関よりも高くなるケースもあります。そのため、金利だけでなく、諸費用やサービス内容も含めて総合的に比較することが重要です。
ネット銀行の利用を検討する際は、これらのデメリットも十分に理解した上で、自分のライフスタイルやニーズに合った銀行を選ぶようにしましょう。適切な情報収集と計画的な選択が、住宅ローンを無理なく利用するための鍵となります。
銀行の住宅ローン審査に通らない人の特徴は?
住宅ローンを申し込む際には、まず事前審査が行われ、これに合格しなければ次の本審査に進むことができません。事前審査で不合格となる主な理由としては、新しい仕事に就いたばかりで勤務年数が短い場合、多額の借入が既にある場合、ローン完済時の年齢が80歳を超える場合、過去にローンの返済遅延の履歴がある場合、そして希望する借入金額が高額すぎる場合などが挙げられます。
一方、本審査ではさらに詳細なチェックが行われ、事前審査と本審査の間に転職している場合や、健康状態に関して新たな問題が発覚した場合に不合格となることがあります。
住宅ローンを利用するにはこれらの審査をクリアする必要があるため、事前に自身の状況を見直し、可能性のあるリスクを回避することが大切です。特に、収入の安定性や既存の借入状況、健康状態などを確認し、不備があれば早めに対処しておくことで、スムーズに審査を通過しやすくなります。
住宅ローンが残ったままの状態で賃貸に出せる?
住宅ローンは、金融機関が個人に対して住宅購入のために貸し付けるものであり、その性質上、法人名義では利用できません。また、住宅ローンで借りた資金は、自身や家族が住むための住宅を取得・所有する目的に限られており、この制約を守る必要があります。
さらに、住宅ローンを完済するまでは、購入した住宅を賃貸物件として貸し出すことは原則として認められていません。ただし、転勤や海外赴任など、やむを得ない事情で居住できなくなる場合には、金融機関に相談することで例外的に賃貸が許可される場合があります。その場合でも、賃貸許可に関する具体的な条件や手続きは金融機関ごとに異なるため、事前に直接問い合わせて確認することが重要です。
賃貸を検討している場合は、住宅ローン契約違反とならないよう注意が必要です。特に無断で賃貸に出す行為は、金融機関から契約違反とみなされ、一括返済を求められるリスクもあるため、慎重に対応することを心掛けましょう。
他に借入金があっても銀行の住宅ローン審査は通る?
住宅ローンを申し込む際に、すでに他の借入がある場合でも、審査に通る可能性は十分にあります。たとえば、車のローンや教育資金のローンを抱えていても、住宅ローンの審査に合格した事例は珍しくありません。ただし、重要なのは借入の内容と返済状況です。
審査では、単に借金があるかどうかではなく、残債の額や返済能力、借入の目的といった詳細な情報が重視されます。また、過去の返済状況に問題があり、信用情報に傷がついている場合には、審査を通過するのが難しくなるでしょう。特に、返済遅延や滞納の記録が信用情報機関に登録されている場合、金融機関からの信用を得ることが難しくなります。
金融機関は、既存の借入と申込者の年収、生活費などのバランスを総合的に判断して、住宅ローンの返済能力を評価します。そのため、現在の借入状況を把握し、可能であれば残債を減らす努力をすることで、審査通過の可能性を高めることができます。さらに、信用情報を定期的に確認し、問題がないかチェックしておくことも大切です。
月々の返済額を決めるコツと注意点
住宅ローンの借入額を決める際は、年収だけを基準にするのではなく、毎月無理なく返済できる金額を基に計算することが重要です。同じ年収でも、ライフスタイルや家族構成によって毎月の返済に充てられる金額は大きく異なるため、個々の状況に応じた検討が必要です。
ここからは、毎月の返済額を設定するコツや注意点、そして年収別の目安について解説します。
毎月返済額の設定方法と注意点
返済計画の妥当性を判断する際、一般的に「返済負担率」が指標として用いられます。返済負担率とは、「年収に対する年間返済額の割合」を示す数値です。たとえば、年収500万円の世帯が月々10万円を返済する場合、返済負担率は以下のように計算されます:
「10万円 × 12ヶ月 ÷ 500万円 = 24%」
一般的には、返済負担率が「25%以内」であれば無理のない返済が可能とされています。この例では、無理のない範囲に収まっています。さらに、「余裕を持った返済を希望する」「他に車のローンなどを抱えている」場合は、返済負担率を「20%以下」に抑えるとより安心です。毎月の返済額を決めるのが難しい場合は、この返済負担率を基準にすると良いでしょう。
年収別毎月返済額の目安表
返済負担率を25%以内に設定した場合の毎月返済額を年収別に計算し、以下のような表にまとめました。また、金融機関の一般的な審査基準である35%、そして返済にゆとりを持たせた20%のケースも併せて示します。
年収(万円) | 返済負担率20%(万円/月) | 返済負担率25%(万円/月) | 返済負担率35%(万円/月) |
---|---|---|---|
400 | 6.7 | 8.3 | 11.7 |
500 | 8.3 | 10.4 | 14.6 |
600 | 10.0 | 12.5 | 17.5 |
700 | 11.7 | 14.6 | 20.4 |
800 | 13.3 | 16.7 | 23.3 |
計算方法
- 返済負担率 = 年収 × 設定割合 ÷ 12ヶ月
- 例: 年収500万円で返済負担率25%の場合 → 500万円 × 25% ÷ 12 = 10.4万円/月
この表を参考に、自分に合った返済計画を検討してみてください。
このように、年収が同じでも設定する返済負担率によって毎月の返済額は大きく異なります。まずは返済負担率「25%」を目安に設定し、その後、自分の家計状況やライフスタイルに合わせて調整するのがおすすめです。無理のない計画を立てることが、安心した住宅ローン返済につながります。
借入額に影響を与える3つのポイント
毎月の返済額が決まったら、次に住宅ローンの借入額に影響を与える重要な要素を理解することが大切です。ここでは、以下の3つの要素について詳しく解説します。
金利タイプ
住宅ローンの金利には、主に「固定金利型」「変動金利型」「固定金利期間選択型」の3つのタイプがあります。それぞれの特徴とメリット・デメリットを理解して、最適な選択をすることが重要です。
固定金利型は、借入期間中の金利が一度決まるとその後変動することはなく、最後まで固定されるタイプです。このため、金利上昇のリスクがなく、安定した返済計画を立てやすいというメリットがあります。しかし、変動金利型と比べてスタート時の金利が高く設定されるため、最初の段階では負担が大きくなる点がデメリットです。
変動金利型は、金利が半年ごとに経済情勢に合わせて見直され、その変動に基づいて5年ごとに返済額が変動する仕組みです。スタート時の金利が低いことがメリットですが、途中で金利が上昇するリスクがあるため、返済計画にはより多くの余裕が求められます。ただし、金利が上昇しても返済額の変動には上限があり、最大でも1.25倍までに制限されています。
固定金利期間選択型は、借り入れ後の一定期間(3年・5年・7年など)は金利が固定され、その後に金利の種類を選び直すことができる仕組みです。このタイプの大きなメリットは、金利動向に応じて柔軟にプランを変更できる点です。しかし、変動金利型のように金利上昇の上限が設けられていないため、大幅に返済額が増える可能性もあります。
返済方法
住宅ローンの返済方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つの選択肢があります。どちらを選ぶかによって、毎月の返済額や総支払額に大きな違いが生まれるため、慎重に検討することが大切です。
元利均等返済は、毎月の返済額が一定となる方法で、元金と利息の合計額を均等に返済します。この方法の最大のメリットは、返済額が一定なので、返済計画を立てやすい点です。収入や支出の見通しを立てる際にも、安心感があります。
一方、元金均等返済では、毎月の返済額のうち元金部分を均等に分け、その残債に応じた利息を上乗せして返済していきます。この方法の大きなメリットは、元金を早く減らせることです。元金が減ることで、支払う利息も少なくなり、総支払額を抑えることができます。しかし、返済開始時は元金の返済額が多いため、月々の返済額が大きくなりがちです。そのため、元金均等返済を選ぶ場合は、毎月の負担額を慎重に設定しなければなりません。あまりにも負担が大きすぎると、審査に通らない可能性もあるため、無理のない返済計画を立てることが重要です。
返済期間
同じ毎月の返済額を設定する場合、返済期間が長ければ長いほど借入できる金額は多くなります。しかし、返済期間が長くなると、利息負担も大きくなり、結果的に総支払額が増える点を理解しておくことが重要です。
また、住宅ローンの審査では、完済時の年齢も重要な要素とされています。借入時の年齢が高い場合、返済期間を長く設定することが難しくなるため、その点にも注意が必要です。多くの住宅ローンでは、完済時年齢を70~80歳とする基準を設けていますが、定年後の収入減少を考慮すると、できるだけ65歳までに返済を完了できる計画を立てることがより安心です。
借入額の計算方法と年収別借入額シミュレーション
住宅ローンの借入額を計算する際には、インターネットのシミュレーションツールを利用するのが便利です。これを使うと、必要な条件を入力することで、自分に合った借入額を簡単に算出できます。
シミュレーションを行うためには、以下の条件を事前に明確にしておくことが重要です。
- 毎月の返済額
- 金利の利率や金利タイプ(固定金利型、変動金利型など)
- 年収
- 現在のその他のローン残高
- 返済期間
- 返済方法(元利均等返済、元金均等返済など)
これらの情報をもとに、年収別に借入可能額を計算してみると、どれくらいの金額を借りられるかを把握することができます。
以下の条件でシミュレーションを行った結果、年収別に借入可能額を計算した結果は次の通りです。
計算条件
- 金利:全期間固定金利1.5%
- その他のローン:利用なし
- 返済方法:元利均等返済(毎月一定額を返済)
- 返済期間:15年、25年、35年
- 返済負担率:25%(毎月の返済額を年収の25%に設定)
借入可能額
年収 | 返済期間15年 | 返済期間25年 | 返済期間35年 |
---|---|---|---|
300万円 | 1,047万円 | 1,625万円 | 2,122万円 |
400万円 | 1,341万円 | 2,082万円 | 2,720万円 |
500万円 | 1,675万円 | 2,600万円 | 3,396万円 |
600万円 | 2,013万円 | 3,125万円 | 4,082万円 |
700万円 | 2,352万円 | 3,650万円 | 4,768万円 |
800万円 | 2,690万円 | 4,175万円 | 5,454万円 |
このシミュレーションは、あくまで年収別におおまかな借入可能額を示した参考値です。実際に住宅ローンを利用する際には、金利タイプや利率を基にシミュレーションを行い、自分に合ったプランを選ぶことが大切です。
住宅のプロが行う「ライフプランシミュレーション」
あなたに合った住宅ローンを選択するには、ライフプランシミュレーションが欠かせません。銀行や保険会社のシミュレーションよりも、実際に家を建てる会社に話を聞いて、マイホームの資金計画と並行して行うことをお勧めしています。
Artwork homeでは、実際の住宅ローンの返済計画を「借りられる額」と「無理なく返済できる額」の2つの側面から、あなたの将来の生活スタイルに合わせてシミュレーション可能です。
無料でご案内しておりますので、家づくりを始められた方はぜひお問い合わせください。
お申し込みはこちら